病院での検査

病院での検査①

病院で行われる口腔がんに関する検査にはどんなものがあるか、まず全体的な説明をしましょう。 口腔がんはある程度の大きさになると、口の中を見たり、触ったりすることでさまざまな情報を得ることができます。したがって、問診や視診・触診は、他のがん以上に重要です。

しこりがわかれば、その大きさを計測し、その範囲を推測できます。また、しこりがない場合でも、粘膜の色や表面性状などから早期がんが見つかることもあります。

病院での検査②

口腔がんの検査方法に、画像検査があります。 CT、MRIは他の組織へのがんの広がりをみるのに優れています。また、PET-CTは、首のリンパ節や、遠くの他臓器に転移しているかどうかを検査するのに役立ちます。
超音波検査は、首のリンパ節転移の診断とともに、原発巣(口の癌)の大きさや深さなど、病気の大きさや広がりを知るのに役立ちます。

造影剤の使用法

がんがある程度の大きさに成長するためには、自らの栄養補給路を確保するために、新生血管を、自分の方に誘導します。作ります。そこで造影剤を注射して、それが新生血管に到着した頃を見計らい撮影すれば、新生血管から造影剤が染み出してきて、画像に映し出され、がんの広がりがわかります。造影剤はこのように小さながんでもよりわかりやすくするために使用されます。

術前化学療法

進行した口腔がんに対して、まず抗がん剤を用いた化学療法でがんを縮小させ、手術に際して、よりがん細胞の完全な切除を確実にしようとする方法がとられることがあります。
がんの手術の前に行う抗がん剤による治療で術前化学療法といわれています。これに、放射線治療を併用する術前化学放射線療法も行われています。
場合によっては、手術の範囲を縮小させることも可能になってきています。この際に、がんが本当に小さくなったかどうかの判定にもCTやMRIを用います。

がんが縮小する仕方

がんの縮小には大きく2通りあります。限局縮小型と樹枝状遺残型です。限局縮小型とは、周りからがん細胞が死滅してゆき、最後に1ヶ所に固まってどうにか生き残ろうとするタイプであり、樹枝状遺残型は、葉などが落ちた後の枯れ木に柿が残ってなっているように周囲組織中にがん細胞が分散して残るタイプです。

前者なら縮小手術により、周囲の組織温存が可能ですが、後者のタイプではがんの絶対量は減っていても、範囲としては小さくなっておらず縮小手術は行えません。もし、縮小手術を行えば手術の切除断端陽性(切り取った組織の切断面にがん細胞が残っていること。詳しくは次項で書きます)になる可能性があります。
従来の画像検査では、限局縮小型と樹枝状遺残型を見分けることはなかなか難しいと思われます。

断端陽性

がんの手術では、がん細胞を残さずとり切ることが非常に重要になります。
私の師匠(愛知県がんセンター、故松浦秀博先生)によれば、リンゴの皮のように薄い皮(安全域)の切除でなく、夏みかんの様に分厚い皮の切除が大切です。
特に口腔がんでは、多くの機能を持った組織、舌、顎、唾液腺などが狭い部分にたくさんあるため、できるだけ小さく、しかもがん細胞は残らず取りきることが求められます。

手術において、執刀医は、がんを切除したら、切除した組織をその場ですぐ病理医に渡します。
病理医は、切除した組織の断端部を薄く切って、顕微鏡で調べます。これを断端検査といいます。手術中に行われることから、迅速診断、術中診断ともいわれます。
この検査の結果、切除した断端に、がん細胞が見つからなければ(断端陰性といいます)切除はそこで終了します。もしがん細胞が見つかった場合は、その場でさらにもう少し大きく切除し、再び断端検査をします。断端陰性にしてから次の段階に進みます。

がんが疑われるとき

視診・触診などの検査で、がんが疑われるときは、直接細胞や組織を調べる検査に進みます。細胞を調べる検査を細胞診といいます。また、組織を一部、切り取って調べることを生検といいます。

細胞診

細胞診には病巣の表面を軽くこすってとれた細胞を顕微鏡で調べる擦過細胞診と、粘膜に覆われた少し、深い部分にある腫瘍を細い注射針で刺して細胞を吸引し調べる、穿刺吸引細胞診があります。前者は病巣が口腔内に露出している場合に、後者は唾液腺腫瘍などの腫瘍が粘膜に覆われている場合に行い、その細胞の中にがん細胞がないかどうかを顕微鏡で調べる検査です。
口腔がんの 大部分をしめる扁平上皮がんに対しては擦過細胞診が多用されます。

細胞診の結果

細胞診の結果は、クラス分類(クラス1<=良性>から、クラス5<=悪性>まで)で表されています。細胞が正しく採取されていることを確認した上で、「異常細胞を認めない」「異常細胞は存在するが、悪性ではない」「悪性の可能性はあるが、悪性とは判定できない」「強く悪性を疑う」「悪性と判断できる」の5つに分類されます。

生検

細胞診で診断がつかない場合は、細胞の塊である組織を少しだけとってきて検査することになります。組織を採取すれば、単に診断を確定できるだけでなく、免疫療法などや抗がん剤の感受性試験などに応用することもできます。生検には外科的にメスで切一部を切開して組織をとる方法で行われます。 外科的な侵襲がありますから、行うときは局所麻酔が必要です。

病理診断医の仕事とは?

病理診断医とは検査や手術で切り取った細胞や組織を顕微鏡で詳しく調べる人のことです。たとえば、がん細胞の有無、種類、悪性度などを調べて確定し、診断や治療に役立てます。 手術後に時間をかけて調べ、最終的に診断を確定するのはもちろんですが、最近は術中診断といって、「断端陽性」の項でも述べたように、手術中に判断し、それが次の治療法を選択する決め手になるケースもあります。

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