治療後の障害に対して

口腔がん患者さんの術後、治療後のリハビリテーション重要性

口腔がん患者さんの術後、治療後のリハビリテーションを行っている施設は限られており、患者さん自身が、独自にいろいろと工夫されているのが現状です。口腔癌の術後には、少なからず

1)摂食嚥下障害(食べること、飲むことの機能低下)

2)発音・構音障害(話すことの機能低下)

3)審美面の問題

4)精神的な問題

等が生じます。

口腔癌治療後のリハビリテーションではそういった面を総合的に解決していく必要があると思います。

一方で、放射線治療や抗がん剤による治療を受けている患者さんの場合には、放射線性顎骨壊死などの問題から、抜歯やその他の処置を行えないなどのことから歯科治療が不十分なものになっていることもあります。

特に大学病院などではリハビリテーションを行う科と抜歯や補綴処置(歯を作る)、あるいは口腔内衛生処置(歯磨きなどで歯周病や虫歯を予防することも含めた処置)を行う科が独立して連携が上手くいかず患者さんがいろいろな科を転々とすると言うこともまれにではありマスが見受けられます。

先ほども述べましたが、重要なのは口腔癌の患者さんの口腔を多面的に問題解決して、機能をあげていくことであると思います。もし、お悩みの方がおられましたら、相談ください。東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニック【info@ginza-somfs.com】

摂食嚥下障害とは

摂食嚥下障害とは、食べ物や飲み物を目で確認して、口に運び、口から食道を通って胃や腸などの消化管へ送り込むための、一連の流れが障害:機能低下している状態をいいます。

摂食嚥下の5段階
  • 「認知期」・・・何をどのようなペースで食べるかなどを判断する時期
  • 「準備期」・・・食べ物を口腔に取り込み、咀嚼してひとかたまりの「食塊」にする時期
  • 「口腔期」・・・食塊を口腔から咽頭に送り込む時期
  • 「咽頭期」・・・食塊を咽頭から食道へ送り込む時期
  • 「食道期」・・・食塊を食道から胃へと送り込む時期

http://medical-dictionary.thefreedictionary.comdeglutitionより改編

口腔癌に関連して生じる摂食嚥下障害

治療前

口腔癌に罹患して、治療を行う前に生じる摂食嚥下障害としては、口腔がんによる痛みや感覚が低下する近く神経麻痺や舌の運動が制限されるなどの運動障害によって摂食嚥下障害が起こります。その他にも歯肉癌で歯がぐらぐらする、食べ物が当たり、出血するなどによっても、思うように咀嚼(そしゃく:噛むこと)ができなかったり、飲み込みにくくなったりする可能性があります。

治療中、治療後

口腔癌の治療において、放射線治療が選択された場合にその副作用として放射線性の粘膜炎や唾液腺が組織的な障害を受けることによる唾液の減少等が、また、化学療法の副作用としても口内炎様の粘膜炎や、味蕾という味覚を感じる臓器に機能低下や障害等が起こります。こうした有害事象(副作用)によって、食べたり飲んだりする摂食・嚥下障害を来す可能性があります。また、口腔がんの手術後には、摂食・嚥下に関与する器官(舌、頬、顎、歯など)の形態や機能が大きく変化するため、多くの場合に摂食・嚥下障害が起こります。

そのほかにも、精神的、心理的要因や環境的な要因によるものもあります。

摂食・嚥下障害の症状
  • 食事の時に食べ物が口からこぼれる。
  • 口の中に食べ物が残って上手くのどの方に入っていかない。
  • 食事中や物を飲んだりした時に、むせたりせき込んだりする。
  • 食事がのどにつかえる感じがある。
  • たんが増える。
  • 原因がよくわからない発熱を繰り返す。

口腔がん、口腔がん治療で摂食嚥下障害が起こる原因

口腔がんが生じることによるもの
  • 口腔がんによる舌や頬粘膜の圧迫、痛み
  • 口腔がんによる嚥下に関係する器官の運動障害、知覚障害など神経麻痺
  • 口腔がんそのものによる食べ物の通過障害
  • 口腔癌によって引き起こされる全身状態の低下に伴う食欲不振
口腔がんの手術に起因するもの
  • がんの切除によって舌や頬、歯、顎などが切除されることで生じる形態変化、機能低下
  • 舌、頬、唇、歯肉などの知覚や運動をつかさどる神経の合併切除による運動機能や知覚の低下
  • 首、顎、頬、唇などの傷が硬く変化(瘢痕硬縮)することによる運動障害、食事する時の姿勢保持の困難
  • 咽頭や食道の狭窄
放射線治療に起因するもの
  • 口腔や咽頭、食道の放射線性粘膜炎による痛みや腫れ
  • 唾液腺に対する放射線の影響での唾液の減少
  • 放射線性皮膚炎のため首や顎が硬くなることによる運動障害
  • 放射線治療の影響で粘膜の線維化を認め,咽頭や喉頭の感覚が低下
  • 嚥下機能に関連する筋肉群の線維化による運動機能の低下
抗がん剤による化学療法に起因するもの
  • 吐き気・嘔吐、食欲不振
  • 口腔炎や咽頭炎、食道炎などの粘膜炎による痛み
  • 胃腸障害による下痢、便秘

摂食・嚥下に関係する筋肉

muscles-of-anterior-neck-and-throat-swallowing-medical-images-for-power-point-1-638より改編

口腔がんならびに口腔がん治療後の各症状に対しての訓練

開口、閉口障害

口を開けたり閉じたりしずらいなどに対しては、障害のある部位=硬くなっている部位:口唇、頬、舌、咀嚼筋のマッサージや運動、顎関節の運動などを行います。

http://www.bayviewrehabilitation.com/physiotherapy-services/より

咀嚼障害

開口障害などの場合には顎のマッサージと顎の運動訓練を行い、顎関節の可動域を広げる訓練をします。外科的手術によって顎や歯が失われている場合には、入れ歯や差し歯、詰め物などを行ったり、残った顎の骨にインプラント治療を行い、義歯(入れ歯)を安定させたり、失われた歯を元のように噛めるようにしたりします。

噛むことの機能を回復させたのちに、場合によっては食べ物を刻み、ミキサー食などの食べやすい形にすることも重要です。

口腔の知覚障害

口の中を手術すると、その部分の知覚が鈍麻(低下)することがあり、そのために食べ物や飲み物が口のどこにあるのかが分からずに、口の外に漏れたりすることがあります。

口腔ケアの際に口唇、頬、舌のマッサージを行うことで物理的な刺激に対する感覚をリハビリテーションできます。また、その時に割り箸などに綿棒を巻きつけたものを似ずに浸したのちに冷凍庫などで凍らせて刺激をするアイスマッサージや、温かい白湯や冷たいお水で含嗽(がんそう)うがいをすることも効果があります。

舌運動障害

舌のマッサージや舌の運動訓練、構音訓練、リクライニング体位などによって運動障害を改善することができます。

また、食べ物や飲み物を一回に飲み込む量を調節したりすることも大切です。

食事をしているときに間違って気管の方に食べ物や飲み物が入らないように、とろみをつけたり、ゼリーのようにした食物を、スプーンによる介助をしながら、嚥下する訓練も重要です。

鼻腔への逆流

上顎癌などで上顎を取ってしまったり、上顎洞という空洞に穴が開いてしまった場合には、特殊な入れ歯を使って上顎を閉鎖してあげる必要があります。その時のために、プロテーゼという特殊な入れ歯、義顎を用いて口の中の形態を改善してあげる必要があります。

唾液減少

口腔ケアや食べ物を一回にするために唾液の代わりにとろみをつけるとろみ食やゼリーなど食べ物の状態を適切に変化させることが重要です。また、人工唾液も有効なことがあります。

食べるための口腔リハビリテーション

口腔内環境を整える(歯牙、義歯、インプラント)

歯の状態が思わしくないと咀嚼ができないだけでなく、食欲も減退します。痛みの原因にもなります。歯の状態を整備して、口腔内全体を良い状態にする必要があり、非常に大切なことです。

食環境を整える

食べる環境 食事の雰囲気づくりが大切です。

時間をゆっくりとり、落ち着いて楽しい雰囲気の中で食事をとるように心がけましょう。

食べる姿勢

食事に集中し、きちんとした姿勢で食べること:いすに深く腰掛ける、ベット上で上半身を起こし、枕などを使用し安定した体位で食事をすることが大切です。

食べるための自助具

嚥下が上手くできない方のためにスプーンなどの食器がたくさん開発されています。適切な自助具を使いましょう。

口腔癌患者さんの発音障害と対策

口腔がんの術後の障害は外から見ただけでは分かりにくく、発音、構音障害が出た場合に、社会生活を営む上で周りの理解が得られにくいという問題があります。買い物に行き、一生懸命にお店の店員さんお話をしても、わかってもらえずに聞き返されてしまったとか、家族や友人にも話していることが容易に理解させない、また、電話で相手に話が通じなかったりすることがあるという患者さんは比較的に多く、話したくなくなったり、外に出かけるのが億劫になっているという話をよく聞きます。

当クリニックでは、そのような口腔がん術後の発音の問題に対して、発音補助装置による治療も行っています。

手術した部分が硬くなって動きにくくなったり、つっぱったりすることを瘢痕化と言います。術後の比較的早期に瘢痕化は始まります。そこで手術後なるべく早期に傷口が動きにくくなったり、つっぱたりする前にストレッチを始めることが重要です。ストレッチの力加減は「痛いけれど気持ち良い」くらいが適切です。

ストレッチは、クリニックだけではなく自宅でも継続して行うことが大切で、とにかくどんどん話して口や舌をたくさん動かすことがリハビリになります。

また、手術で舌の動きが悪かったり大きさ(体積)が減ってしまったなどの方には上あごに装着し発音を補助する入れ歯のような装置でる舌接触補助床などを使っていただき対応します。

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