現在の口腔がん治療の概観

標準治療

その時点で最も効果が高いと医学的、科学的に証明された治療法のことです。英語では「ゴールドスタンダード」といいます。
病院や医師によって治療法が異なる医療格差を是正するために、ガイドラインなどを作成し、標準治療を普及させようという動きが、日本でもようやく活発になってきました。
標準治療を選ぶかどうか、最終的に決めるのは患者さんですが、どういう治療法が標準治療とされているかを知っておくことは大切なことです。

口腔癌の治療法 概観

ほとんど全ての口腔がんで手術治療が中心となります。
早期がんでは手術単独で治療できますが、進行したがんになると手術に放射線療法や抗癌剤を組み合わせた治療になります。初期のがんだと手術後に後遺症が出ることはほとんどありません。

しかし、進行がんの手術で切除する範囲が広くなると口の機能である「しゃべる」、「飲む」、「食べる」といったことに影響が出てしまいます。そのため、放射線治療や抗がん剤による化学療法も加えて治療をしますが、それでも、口の組織欠損ができます。それを補うために、患者さんの体の別の部分(腕の皮膚、背中の皮膚やお腹の皮膚)を使って、口の形や先ほど述べたような機能を元に近くなるように戻すための、再建をすることで影響を最小限にしています。

個々の治療法については後にくわしく解説しますが、まず口腔がん治療全体を概観してみましょう。 口腔がん治療は、手術を基本とし、それに放射線療法、薬物療法あるいは免疫療法を組み合わせて行われるのが普通です。

口腔がん外科手術①(原発巣手術)

口の中のがんがある部分を原発巣といい、この病巣を切除する手術です。がんは周りの組織に入り込んでいますので、安全域といってがんの周囲にいくらかの正常組織も含めて切除します。

口腔がん外科手術②(頸部郭清術)

首のリンパ節にがんが転移した場合、または転移が疑われた場合に行われる手術です。リンパ節に転移したがん細胞は、より悪いがん細胞であることがおおく、さらに周囲の組織に入り込もうとしたり、さらに他のリンパ節に転移使用としたりするため、転移したリンパ節のみを摘出するのではなく、他のリンパ節およびリンパ節周囲の組織(脂肪、筋肉、神経、血管など)を同時に切除します。

 

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口腔がん外科手術③(再建手術)

原発巣手術により組織欠損が生じた部分に体の他の部分の組織を移植して、欠損を補填する手術です。腕・腹部・胸部などの皮膚や筋肉、腰の骨、足の骨などが用いられます。

術前化学療法

最近では、Ⅱ期の中でも少し大きめのがんや、もしくは一部のⅢ, IV期の口腔がんに対し、手術前に化学療法(抗がん剤)を行い、がんを縮小させて口腔の機能温存を期待する「術前化学療法」を手術に併用する場合が増えています。

センチネルリンパ節生検

がんが首のリンパ節に転移する場合、がんの病巣からがん細胞が最初に流れ着くリンパ節を見いだす方法が確立され、センチネルリンパ節ナビゲーションサージェリーとして、注目されています。
がん細胞がリンパ節転移を起こすのであれば、まずそのリンパ節に転移するであろうリンパ節を調べてもし転移がなければ、それより先のリンパ節にも転移はないと考えられることから、リンパ節郭清は行わなくてすみます。
センチネルリンパ節生検は、既に欧米では標準治療として認められ、日本でも急速に普及しています。

 

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放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を病巣に照射して癌病巣を小さくしたり、死滅させたりする治療法です。
がんが小さい場合は放射線単独でがんを死滅させることも可能です。
進行したがんに対しては、手術療法や抗がん剤による化学療法と併用して用いられることが多くなります。
体の外部から照射(放射線を当てること)する外照射と、放射線が出る特殊な針を直接がんに刺して照射する組織内照射があります。

個別化

口腔がんの治療で、最近「個別化」ということがいわれています。
口腔がんとひと口に言っても、放射線療法が有効な人無効な人やある種の抗がん剤が効く人効かない人、と様々です。そこで、その人のがんの特性をよく調べて、もっとも効果的な治療方法を選択しようというのが「個別化」です。いわば既製服ではなくその人にあうオーダーメイド服への転換と言っていいでしょう。
それだけ、その人のがんに適切な治療法が選択できるようになってきています。

化学療法(抗癌剤による治療)

化学療法とは、抗がん剤を使った治療のことです。
1種類の抗がん剤を使う場合と、いくつかの作用の異なる抗がん剤を2、3種類同時に、あるいは順次使う場合があります。
また、抗がん剤といえば、副作用のつらさもよく知られていますが、最近では副作用を抑える薬も進歩してきており、以前に比較してかなり副作用による苦しみは緩和されてきております。

分子標的治療薬

抗がん剤などのがんに対する薬による治療での最近の話題は分子標的治療薬でしょう。これは分子レベルでがん細胞の特徴を捉え、正常細胞には障害をださずにがん細胞だけを狙い撃ちする薬で、再発・進行口腔がんに対する延命効果が期待されています。

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