唾液腺がん

唾液腺がん

唾液腺は、唾液(つば)を作る臓器で、大唾液腺と小唾液腺があります。大唾液腺には耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つがあり、これらの唾液腺で作られた唾液は管を通じて口腔内に分泌されます。小唾液腺は口腔粘膜やのどの粘膜のに存在し、管を通ることなく唾液腺組織から直接口腔内に唾液を分泌しています。

唾液腺がんとはこれら唾液腺組織を構成する細胞から発生したがんのことです。

唾液腺がんのほとんどは耳下腺がんと顎下腺がんで、舌下腺がんはきわめて稀です。

唾液腺がんの病理組織型(がんを構成する組織や細胞の種類その比率、増殖の仕方などを顕微鏡で見て決定される型)は非常に種類が多く、WHOで決められた分類(1994年)によると18種類にも分類されています。

症状

唾液腺がん特有の症状はなく、腫瘤(しこり)の自覚 が最も多く、大きくなると違和感や、嚥下・構音障害(食べにくさや話しにくさ)を自覚するようになります。

腫瘍が周囲の神経に入り込んで症状を起こすことも比較的多く、知覚鈍麻や顔面神経麻痺などを伴うこともあります。一方で、肺、骨、皮膚への血行性転移も報告されている。

診断

腫瘍から組織を採取し病理学的に診断を行います。触診や視診、CTなどの画像検査により病変の範囲を把握することが重要です。

特徴

唾液腺がんの特徴としては、腫瘍の増大速度は比較的遅い、周囲組織への浸潤傾向が強い、遠隔転移の頻度が比較的高い などの特徴があります。

治療法

化学療法と放射線療法に関しては有効とした報告もありますが、一定の見解は得られておらず、治療の中心は手術です。ただ、腫瘍周囲への浸潤傾向が強く、腫瘍細胞が周囲の組織に深く入り込んでいることが多いために、十分な安全域をつけた切除により、広範囲に組織を取らないといかないという点が患者さんには大きな問題になることもあります。術後の後遺症を考慮して術式を決定する必要があり、病変の状態によっては追加で放射線治療を行う場合もあります。

また近年では重粒子線治療が有効との報告もなされるようになってきました。しかし、長期的な合併症など不確実な部分もあることも事実で一般的な治療とはなっていません。

症例1

下顎の臼歯部にできた3mmほどの小腫瘤

病理組織学的;腺癌

PET-CTで病変が描出されている。

症例2

硬口蓋:口蓋腺に発生した唾液腺がん

CTでは上顎骨を浸潤破壊し上顎洞内~後壁、翼口蓋窩まで進展する腫瘍を認め、PET-CTでは同部位にSUVmax 5.0とFDGの高集積を認める。

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