分子標的治療

口腔癌に対する新しい治療戦略である「抗がん剤に代わる分子標的治療」について。

分子標的薬とは

分子標的薬は、近年開発が進んできた抗がん剤です。がん細胞は細胞分裂を行い、増殖するという癌の成長の鍵となる分子を標的とする薬剤であり、がん細胞が発する増殖のシグナルを分子レベルで見極め、それを遮断することでがん細胞を死滅させます。そのため、一般的な抗がん剤は正常な細胞も攻撃してしまうのに対して、分子標的薬は正常細胞を傷つけることが少なく、副作用も少ないといわれていますが、まったくないわけではありません。

現在承認されている分子標的薬には大きく「抗体薬」と「小分子化合物」という2つのタイプがあります。

低分子化合物はチロシンキナーゼ阻害薬に代表されるように,がん細胞の内部で標的分子に結合してシグナル伝達を阻害するタイプが多いのに対して,抗体薬は、がん細胞が正常細胞と異なって持つ特徴のある分子を見分けて、がん細胞の表面にその目印を出現させ抗原分子に結合し,その機能を阻害する直接作用や免疫系を介した間接的な作用などによりその効果を発揮します。

分子標的薬は一般的な抗がん剤に比べて正常な細胞への影響が少ないため、副作用はあまりないといわれていますが、中には、これまでの抗がん剤ではみられなかったアレルギー反応やにきびのような湿疹、肺障害など特殊な副作用が現われている薬もあるといわれています。

頭頸部がん(口腔がん)を対象とした分子標的薬アービタックス

2012年12月21日、抗がん剤アービタックス注射液(一般名:セツキシマブ遺伝子組換え)の効能・効果に頭頸部がんを追加する承認が得られました。同剤は、腫瘍細胞が持ち、増殖に関与するEGFR(上皮増殖因子受容体)に結合して、増殖を抑える作用を持つ分子標的薬で、同薬の頭頸部がん治療薬は初めてです。

頭頸部癌の 90%近くが組織学的に扁平上皮癌であり,扁平上皮癌を対象に治療が開発されてきていました。

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