退院後の生活について

入院前の生活のペースはゆっくりと取り戻す

退院後、手術後の経過を見るために外来に通院する機会が多い時期は、生活のペースが入院前と違ってくる上に、手術後の後遺症で口の機能や首の動きが低下することなどもあって、以前のように思うようにいかないことがあるかもしれません。

しばらくの間は主治医(または担当医)や看護師に相談しながら、治療やリハビリテーションを中心にしたスケジュールを組み、ゆとりを持ち、あせらずに日常生活を取り戻していくことが大切です。

発音・発語、咀嚼・嚥下は少しずつ動かして機能低下を防ぐ

口や首が動きにくかったり、肩に力が入りにくいなどで生活に支障がある場合は、すべてを完璧にこなそうとせず、家族に協力してもらうなどの工夫をしましょう。

ただし、これらの動作を使わないでいると、徐々に機能が低下します。痛みやしびれがある際は、医師や看護婦に相談し、無理をしない範囲で使っていくことも必要です。状態によっては、理学療法士や作業療法士による専門的な機能訓練を行うと良いでしょう。

手術後の後遺症は、多くの場合は、だんだんと日常生活に支障がなくなる例が少なくありません。首のリンパ節を切除した人では、手術をしたほうの顔や肩にむくみが出ることがあります。むくみは手術後しばらくたってから現れることもあります。

毎月の自己検診、医療施設の定期検診

退院すると、しばらくは口腔癌のことを忘れてしまいたいという気持ちに駆られる患者さんもいらっしゃるでしょう。とりわけ手術後の補助療法が一応終了すると、定期検診を怠りがちになる患者さんもいます。
しかし、口腔癌の手術後は、原則として10年くらい定期検診を受ける必要があります。
最低でも3~5年は、担当医、主治医のいわれるように、きっちりと現実をしっかり受け止め、定期検診だけは欠かさず受けましょう。

他の病気で処方されている薬も慎重にチェック

ほかの病気で薬が処方されている場合は、服用中の薬との口腔がんの治療との相互作用をチェックすることが重要です。使用中の薬を必ず医師に伝えて処方してもらうようにします。
とくに手術後の経過年数や薬の作用と副作用をよく検討して、慎重に判断することが必要です。

社会復帰と前向きな生活を目指す意志を持つ

口腔がんの治療を終えた患者さんは、もはや「がん患者さん」ではありません。
前向きで生きがいのある生活や笑いのある生活は、免疫機能を高め、がん細胞に対抗する有効な手段であることが、いろいろな研究でわかっています。

日々の生活で、疲れやストレスをため込まないように気をつけた上で、できるだけ前向きで積極的な生活を送るよう心がけてください。

術後の経過観察

模範的な経過観察期間として、術後1年目までは最低月1回(可能であれば月2回)、2年目には月1回、3年目は2ヶ月に1回、4年目は3ヶ月に1回、5年目以降は6ヶ月に1回の経過観察が推奨されます。

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