口腔がん予防

口腔がんの予防

がんは、予防することができる病気です。口腔がんも予防できます。口腔がんの原因やハイリスク集団が明らかにされ、具体的な予防法が開発され、がん予防対策が効果的に実施されれば、口腔がんの発生率とそれに続く死亡率は確実に下がるでしょう。

口腔がんの原因の多くはたばこや飲酒、食事などの日常の生活習慣にかかわるものだとわかっています。口腔がんの発生率は、非喫煙者に比べ2~18倍高くなっています。さらにアルコー ルを毎日飲んでいる喫煙者のリスクは一段と高くなります。また、 栄養状態が悪かったり、真菌(カンジダなど)やウイルス(パピローマウイルスな ど)に感染していたり、口腔衛生状態が良くなかったりするとさらにリスクは上がります。それともう一つ大きく関わっているのが、口腔内の状況、むし歯により歯がとがっていたり、合わない詰め物や被せ物、入れ歯、歯が抜けたところをそのままにしておくなどによって機械的な刺激を受けると、その部位の口腔粘膜にがんが発生することが知られています。

タバコ、アルコール、食事、口腔内環境、適切な歯科治療によって口腔癌は予防できると考えます。

生活習慣と口腔がん予防

がん予防では、これさえ守れば絶対にがんにならないという方法はありません。がんのリスクをできるだけ低く抑えることが目標になります。食品や栄養素はバランスよくとり続けることが前提であり、これがいい、あれがいいという情報で、1つの食品をそのときだけたくさん食べるなど、いちいち振り回される必要はありません。また、通常手に入らないような特別な高い食品を、買う必要もありません。

WHOによる癌に関連する食事関連要因の評価に、IARCによるたばこに関する評価の結果を加えたガンと食事の関係では、喫煙は、肺がんだけではなく、口腔癌を含めた多くの癌で確実に関与していると報告されています。喫煙以外の要因とがんとの関連で確実だといえるのは、運動不足(結腸)、肥満(食道(腺癌)、結腸、直腸、乳房(閉経後)、子宮体部、腎臓)、飲酒(口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、乳房)、アフラトキシン(カビ毒の一種で、保存状態の悪いトウモロコシやナッツ等の穀類に混入していることがある)(肝臓)、中国式塩蔵魚(中国の一部地域で食べられている特殊な処理をして作る魚の塩漬け)(鼻咽頭)、また、可能性が高いと思われる関連は、野菜や果物(口腔、食道、胃、結腸、直腸)、運動(乳房)、加工肉(結腸、直腸)、塩蔵品および食塩(胃)、熱い飲食物(口腔、咽頭、食道)等であると報告されています。

その他、がんのリスクを上げる可能性があるものとして、動物性脂肪、ヘテロサイクリックアミン(肉を高温で調理するとできやすい化学物質)、多環芳香族炭化水素(たかんほうこうぞくたんかすいそ:炭焼きやスモークした食品に多く含まれる化学物質)、ニトロソ化合物(加工食品などに多く含まれる化学物質。また、唾液(だえき)中の亜硝酸(あしょうさん)や亜硝酸塩が、タンパク質に由来する二級アミンという物質と体の中で化学反応を起こすことによってもできる)などが挙げられます。

一方で、リスクを下げる可能性があるものとして、食物繊維、大豆、魚、n−3系脂肪酸、カロテノイド、ビタミンB2、B6、葉酸(ようさん)、B12、C、D、E、カルシウム、亜鉛、セレン、非栄養性植物機能成分(例:アリウム化合物、フラボノイド、イソフラボン、リグナン)等が挙げられていて、さらなる研究データの蓄積が求められています。

癌に効く食べ物

口腔がんだけに特化した癌の予防効果が期待できる食べ物は現在のところ見出されていません。

一般に、癌に効く食べ物には、ニンニク、キャベツ、大豆、玄米、トマト、緑茶、なす、きのこ類、豆類、海藻類、かんきつ類、ベリー類、セリ科、ナス科の野菜、赤黄紫緑系の濃い野菜(抗酸化作用)のある食品などがあります。

アメリカ国立がん研究所作成の「デザイナーフーズ・ ピラミッド」より

がんを予防するには、免疫力を高めることが重要になります。免疫力ががん細胞の発生を、抑えこむ働きをします。免疫カがダウンするとがん細胞を抑えきれなくなり、増殖してしまいます。ビタミンA・C・Eは抗酸化作用が強く、がん予防に欠かせない栄養素と考えられています。

東京銀座シンタニ歯科口腔外科クリニックへの受診相談のお申込