腫瘍とは

腫瘍とは

腫瘍(しゅよう、tumor)とは、組織、細胞が生体内の制御に従わず自律的に過剰に増殖することによってできる組織の塊(かたまり)のことです。病理学的には、新生物(しんせいぶつ、neoplasm)と同義に使います。腫瘍には良性と悪性があり、悪性腫瘍は「がん」と呼ばれ、一般に発育が早く、周囲に浸潤性に増殖し、また遠隔臓器に転移します。

【良性腫瘍】
ゆっくりと成長し、一定の大きさになると成長が止まります。局所にとどまり、浸潤や転移をしません。いぼやポリープなどが含まれ、手術によって完全に切除すれば再発しません。ただし、この良性腫瘍から悪性化することもあります。

【悪性腫瘍】
いわゆる癌(がん)です。別名、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)、悪性新生物(あくせいしんせいぶつ)とも言います。

体の中にできる「できもの」です。正常な細胞もがん細胞も細胞分裂を繰り返します。ただ、正常な細胞は、ある段階まで来ると細胞分裂をしなくなり、役割を果たして死滅していきますが、がん細胞は無限に増殖します。

がん細胞は、異常に増殖して周辺の組織を壊し、増えるに従って①発生した臓器の周囲の臓器に入り込みます。また、②血管やリンパ管という体中をめぐっている管に入りこみ、遠くのほとんどの臓器にも拡がり、そこを破壊します。そして、宿主(がんができた本人)が死ぬまで増殖をやめません。

一般に「がん」は悪性腫瘍全体を示す言葉で、癌腫(がんしゅ carcinoma)は上皮性悪性腫瘍を、また肉腫(にくしゅ sarcoma)は非上皮性悪性腫瘍を意味しています。上皮とは組織学的に基底細胞層より上層で体表面を構成する組織で、非上皮とは、この基底細胞層より下層の体深部を構成する組織を指します。

がんとは

現在、日本人の2人に1人は一生のうちに何らかのがんにかかる病気であり、そういう意味では身近な病気ともいえます。

がんとは

2017年データに基づく累積罹患リスク および 2018年データに基づく累積死亡リスク国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」より作成。

がんは、、遺伝子が傷つくことによって起こる病気であることが分かってきています。確かに、がんを引き起こす可能性のあるウイルスは存在しますが、基本的に、発がん物質などにより遺伝子に傷がつき、それが蓄積されてがんになりますので、がんがが人から人にうつることはありません。

国立がん研究センターHPより引用
国立がん研究センターHPより引用

がんが遺伝子の傷によってできると聞くと遺伝するの?

癌は遺伝するのか

親から子に受け継がれる遺伝情報(いわゆる遺伝)と遺伝子に傷をつける喫煙や飲酒などの生活環境に関しては、以下の図のようなイメージでとらえるとわかりやすいと思います。

遺伝による要因も全くないわけではありませんが、生活習慣のほうががんの発生には大きくかかわることがわかります。

癌の原因は

がんの原因で両親からの遺伝の関与がどのようなものかについては、米国のデータではありますが、家族歴の割合を調べたデータからもわかりますし、一卵性双生児における片方の方がアルガンになった場合の他方の方が同じがんになる確率からも遺伝的な要素のがん発生に対する関与はかぎられていると思われます。

遺伝による要因も全くないわけではありませんが、生活習慣のほうががんの発生には大きくかかわることがわかります。

癌と遺伝子

つまり、遺伝子の傷が蓄積するということは、個人個人が生来持つ遺伝子変異やLOH:ヘテロ結合性の消失、染色体のコピー数などジェネティックな異常の影響よりも、発がん物質などによるDNAのメチル化や・ヒストンのメチル化、アセチル化のエピジェネチックな異常が大きな影響を与える。

遺伝子異常の種類

すなはち、正常細胞では成長ならびに細胞分裂のスピードがアクセルとブレ-キでうまく調整されているが、がん細胞では、例えば、がん抑制遺伝子というブレーキがメチル化で壊されスピードの制御ができなくなっているのである。細胞増殖のスピードの制御には複数のブレ-キが存在するため、一個くらいは壊されても大丈夫だが、どんどん壊されると制御が効かずにがんが増殖するのである。

がん抑制遺伝子

このように、考えるとがんが遺伝子の傷によって生じることがわかります。

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