口腔癌で放射線治療を使用する場合

口腔癌で放射線治療を使用する場合

放射線治療を目的で分類すると、単独あるいは抗癌剤による治療との併用で根治(完全にがんを治癒させる)をねらう根治療法、手術でがんを切除する前に腫瘍の縮小や不活化をはかる術前療法、手術の後に腫瘍の再発を防ぐために行う術後療法、腫瘍の根治は望まないが、がんによって起こる様々な症状の緩和や生活の質(QOL; Quality of  Life)を上げるための緩和的・姑息的療法があります。
①根治療法
②術前療法
③術後療法

④緩和的・姑息的療法

根治療法

がんを完全に治す目的で照射する放射線治療です。口腔がんの放射線治療を治療手段で分けると外部照射と小線源治療があります。外部照射単独の治療が外科手術に匹敵するという報告はほとんどありませんが、根治性を求める上では小線源治療が選択されます。

 

<外部照射>
口の中にある病変に対して、外の方から放射線を照射する方法です。比較的広い範囲に対する照射が可能ですが、皮膚などに放射線性の皮膚炎などができるなど副作用も生じます。現在、外部照射単独では根治は期待出来ないと考えられています。


<小線源治療>
機能や形態を温存でき、障害が少ないことから治療方法のひとつとして選択されることもあります。しかし、その適応は限られており、舌がん・口底がん・頬粘膜がんに適応され、骨への浸潤や頸のリンパ節への転移がないものに限られます。また、がんの大きさの比較的小さなもので、腫瘍の厚さが10mmを超えないものであることが適応となります。適応症例では、その局所制御率も約90%とされており、手術療法と同等とされています。

術前療法

術前の照射では、がん細胞にダメージを与えたり、がんをできるだけ小さくして手術をしやすくしたりするために照射します。外部照射は、通常約3週から4週間程度、土日祝日を除いて毎日行うことが多く、抗がん剤による治療を併用することもあります。

術後療法

術後に行われる放射線照射で、手術で切除しきれずにがん細胞が残った可能性がある場合に照射して、再発の可能性を低くすることが目的です。がんの悪性度や頸のリンパ節転移の状態によって照射量が決まります。通常約4週〜7週間行います。放射線治療の回数などは各個人によって異なることがあります。

緩和的・姑息的療法

放射線治療によってがんを小さくして、骨転移による痛み、脳転移による神経症状、がん病巣による気管、血管、神経などの圧迫によるによる症状などを除去して、がんの症状を和らげることが目的になります。腫瘍の根治は望まないが、生活の質(QOL; Quality of  Life)を上げるために放射線治療を行います。照射量、回数等は腫瘍の部位や大きさによって大きく変わります。最近では化学療法と併用することで、根治性を期待する治療方法も行われています。

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